意思決定ガイドの国際組織
世界では、たくさんの意思決定ガイドが開発されています。Ottawa decision aidsで検索できる意思決定ガイドは2019年現在、700を超えました。
意思決定ガイドの開発がさかんになり始めたのは、2000年代に入ってからです。後戻りできない難しい意思決定を支援するためには、意思決定ガイドの質を向上する必要がありました。
そこで、世界の意思決定ガイドの研究者達が集まり、International Patient Decision Aid Standards(IPDAS) Collaborationという組織を設立しました。
この組織は、意思決定ガイドの内容、開発、提供と評価の基準を伴うエビデンスと情報に基づく枠組みを確立することによって、意思決定ガイドの質と効果を向上することを目的とした組織です。
IPDASの活動により、意思決定ガイドの国際基準(IPDAS checklist)、意思決定ガイド提供の効果を報告する際のガイドライン(SUNDAE checklist)[1]が開発されています。
意思決定ガイド国際基準 日本語版
日本でも、選択肢に関する十分な情報を得て価値観と一致した意思決定ができるよう支援するためには、質の高い意思決定ガイドを開発する必要があると考え、国際基準の日本語版を開発しました。
意思決定ガイドの国際基準の日本語版は、44項目で構成されたものを翻訳しました。
日本語版の開発作業は、Beatonらのガイドライン[2]に基づき、2名による和訳後に1つの和訳に統合、2名による逆翻訳、メンバーによる和訳の検討と修正を行いました。開発した日本語版は、2017年12月にIPDAS collaborationから承認を受けて、そのサイトでJapanese version of IPDASとして紹介されています。
IPDAS collaboration
Japanese version of IPDAS(日本語版)
意思決定ガイド国際基準は、開発段階から活用することができます。質の高い意思決定ガイドにするために、国際基準の項目を参考にしながら内容を作成するとよいでしょう。
詳しくは、意思決定ガイドの作り方をご覧ください。
<入手した意思決定ガイドの質を確認したい方へ>
意思決定ガイド国際基準は、入手した意思決定ガイドの質を確認するために活用することができます。これからその意思決定ガイドを読んで決めようとする方、意思決定ガイドを提供しようと考えている医療者の方は、国際基準を活用するとよいでしょう。まず、資格基準6項目をすべて満たしているか確認しましょう。
このウェブサイトに掲載されている意思決定ガイドは、開発者による意思決定ガイドの評価を国際基準により行っています。
(2020年1月20日公開 大坂和可子)
引用文献
1)Karen R Sepucha, Purva Abhyankar, Aubri S Hoffman, Standards for UNiversal reporting of patient Decision Aid Evaluation studies: the development of SUNDAE Checklist. BMJ Qual Saf. 2018 May;27(5):380-388. doi: 10.1136/bmjqs-2017-006986.
2)Beaton et al(2000).Guidelines for the process of cross-cultural adaptation of self-report measures. Spine,25(24):3186-91.