Health literacy online (日本語訳)

2.すぐに実行できるコンテンツにしましょう

Health literacy online (日本語訳)

はじめに

ウェブサイト用に書くことと印刷のために書くことは異なっています。ほとんどのユーザーは、リテラシーの低いユーザーも含め、特定の情報や質問への答えを探しています。彼らは通常、1つのページに非常に長く滞在しません。実際、ホームページ上の平均滞在時間は15秒未満です。


それが健康情報となると、ユーザーは次の2つのことを素早くかつ簡単に行いたくなります。

  • 健康上の問題や行動を理解すること
  • どのように行動に移すかを明らかにすること―言い換えると、行動を変え問題に対処するには何をすればよいかということ

コンテンツは、Webサイトの中で最も重要な要素です。対象者のリテラシーの高さがどの程度であれ、常に健康コンテンツの目指すところは、

  • 簡潔かつ的を絞る
  • すぐに実行できて魅力的である

「すぐに実行できる」というのはあなたが健康行動に焦点を当てていることを意味します。あなたは彼らに対し何をどのように実施すべきなのかを教えてください。

エンゲージメント<ユーザーが積極的な反応を示すこと>とは、行動変容を促すような方法で健康情報にユーザーを引き込んでいく過程です。対話型の方法とチェックリストは、人を引き付けるコンテンツの例です。ネット上の健康情報に適用された場合に、高いレベルのエンゲージメントは健康行動の変容へと導くことができます。

ご注意下さい:平易な言葉では十分ではありません。
ユーザーに健康的な行動を受け入れてほしいのであれば、あなたはすぐに実行できる健康コンテンツを記述する必要があります。平易な言葉だけではあなたの望ましい結果にはなりません。


2.1. ユーザーの動機と目的を特定しましょう。なぜ、ここに来たのか?

動機は、健康に関する情報の検索を促し、ウェブサイトでユーザーの行動に影響します。ユーザーの動機を理解することは、彼らの必要な情報や期待を満たすような、実用的で目的にかなった健康に関するコンテンツを書く一助となります。

ユーザーは疑問に対する答えを欲しがっているのです。

多くのインターネットユーザーが、特定の目的を持っていることに留意すること。彼らはたいてい、疑問を解決しようとしています。その疑問とは何かを探るために、何を知りたいのかをユーザーに問う調査を行い、その後、彼らに情報を届ける最適な方法を決めていきます。

オンラインのユーザーについて基本的な情報を得ることができます。

利用ユーザーの動機を理解する最善の方法は、彼らと話すことですが、ユーザーに関する基本的な情報―ユーザー層の情報など―はオンラインで集めることができるでしょう。(詳しくは、セクション6のリテラシー能力の低いユーザーに調査を行う方法を参照してください。)

例えば、ODPHPの調査では、健康に関する情報をネットで探すユーザーに共通する動機をいくつか特定することができました。この調査により、多くのユーザーが下記の目的でインターネットを利用することが分かりました。

  • 自分や知人に影響する健康上の問題について知るため
  • 自分が健康上の問題を抱えているか、または懸念していることの原因を探すため
  • 健康上の問題を回避する方法を知るため

やってみよう

次回ウェブサイトを作成したり更新したりする際に、出発点として疾病管理予防センター(CDC)の資料を使うといいでしょう。ユーザー層のデータに基づいた公衆衛生に関するコミュニケーション作業を目的として、ユーザーのプロファイルを見ることができます。

ユーザーの動機の変化を予測しましょう

研究により、ユーザーを動機づけているものは変化しがちであり、変化は頻繁であることが多い、ということも分かりました。このことに留意して、自分のコンテンツが、健康情報を検索するユーザーのさまざまな目的に合うようにしましょう。

下記の方式は、リテラシー能力の低いユーザーの動機に基づいて開発されたものです。これは、ユーザーを「あるトピックに関する情報がほしい」から、「そのことに関して何かをしたい」へと動かすように設計されています。

健康促進のための情報を提示する際は、以下のような方式に従いましょう。

  • 健康に関わる行動を説明する
  • 行動を起こすことの利点を説明する
  • 行動の明確なステップを提示する
注意を引く。それから要点を言いましょう

2.2.一番初めに最も重要な情報を載せましょう

リテラシーの低いユーザーの多くは、ページや段落のほんの数語しか読みません。彼らはコンテンツが読みやすいと思えば、おそらく読み続けるでしょう。もし難しすぎると思えば、そのページ上の別の場所に飛ばし読みします。

(Figure 2.1は省略します)
一番初めに最も重要な情報を載せると、モバイルユーザーのためのコンテンツを作ることができます。また、リテラシーレベルや使用しているデバイスに関係なく、忙しいユーザーのためのコンテンツを作ることができます。アイトラッキングのデータによると、すべてのユーザーはウェブページの上部にあるコンテンツを読み、その情報が自分に関係ないと思えばすぐに興味を失う傾向があります。

2.3. 健康行動について説明しましょう。基本的なことだけです。

予防行動の導入から始めてください。ユーザーは特定の行動指針を求めています。言い換えると、何をどのようにすべきかをユーザーに伝えるということです。背景情報と統計よりもむしろ、行動に焦点を当てましょう。ユーザーに大量の情報を与えることは重要ではありません。


「知る必要があること」と「知っていて損はないこと」を考えましょう。

健康情報が広範囲である必要はありません。その代わり、ユーザビリティ調査では健康の話題に関する"ごく基礎的なこと"を学ぶことを好む人が多いということを示しています。ユーザーは、行動変容のために何を知る必要があるのでしょうか?単刀直入に、そして的を射た状態で情報を維持しましょう。さらに詳細を求める人々は、もっと掘り下げるでしょう。


「必要なことだけを教えてください」


以下の代わりに:
血圧は、動脈の壁に対する血液の力です。血圧は頻繁にチェックする必要があります。
以下にしましょう:
特にあなたが40歳以上である場合は、2年ごとに血圧をチェックしてください。

(Figure 2.2は省略します)

"このウェブサイトが好きなのは、今すぐに欲しい情報が見つかるからです。基礎的なことが書かれていて、読むのが面倒ではありません"

2.4.ポジティブでいましょう。行動を起こすことで得られるメリットを伝えましょう

ユーザーはポジティブな口調を大変好みます。ですからできるだけ否定的な言葉を避けましょう。カードソーティングの時は、基本的な健康情報に加えて、ユーザーはリスクと負担についての情報よりも、きっかけや行動を変えるために障壁を乗り越えることについての情報を優先します。

ユーザーに対して、望ましい行動を受け入れることで、何を得られるのかを伝えましょう。

(Figure 2.3は省略します)

人々に何をすべきでないかを伝えるのではなく、行動変容のための前向きな理由づけを示しください。


以下の代わりに:
ヘルメットなしでバイクに乗るのは絶対にやめましょう。
以下にしましょう:
バイクに乗るときは、必ずヘルメットを着用しましょう。

やってみよう
言葉を選ぶときには、"しないでください(don't)"の使用を制限しましょう。
また、"すべき(should)"も使わないようにしましょう。"すべき(should)"は説教じみていて、人を見下しているように聞こえます。
障壁そのものではなく、障壁を乗り越えるためのヒントやツールに焦点を当てましょう。

ユーザーが健康行動を変えるためには、さまざまな障害を克服する必要があります。現実的に考えて、これらの障壁を認め、励ましと動機付けを継続することが重要です。



全か無かではないのです。10分の運動は、ないよりはましです!
週に数日、1日10分程度のウォーキングをしてみてはいかがでしょう。

禁煙は難しいですが、何百万人もの人が成功しています。
実際、タバコを吸ったことのあるアメリカ人の半数以上が禁煙に成功しています。
あなたもその一人になれるかもしれません。


2.5.具体的な行動の手順を示しましょう

ユーザーが始めるために必要な手段を提供しましょう。ユーザーは行動の手順、特に即座に実施できることを探しているのです。
何をするかの代わりに、どのようにするのかを彼らに伝えましょう


行動を小さなステップに分けましょう

小さくて出来る範囲のステップへ行動を分割することは、ユーザーがどちらのステップが現実的で実行可能な感じなのか、選択肢を与えるということです。→ユーザーが即座に取り入れられるようなステップを含みましょう。


(Figure 2.4は省略します)
小さなステップへ行動を分割することは、ユーザーの自己効力感を向上させます。
自己効力感は、特定の目標に到達することに成功する能力があるとする個人の判断です。自己効力感は、健康行動の重要な予測因子です。

やってみよう

次にメッセージを作成する際には、健康行動を変化させた人々の個人的なストーリーを取り入れることで、メッセージを強化することができます。読み手の自己効力感を高めるには、統計よりもストーリーの方がはるかに効果的です。読者が共感できる人の言葉をひとつ加えるだけでも、大きな違いが生まれます。


双方向的なコンテンツをつくりましょう

行動のステップの一環として、メニュープランナー、印刷可能なチェックリスト、医師に尋ねる質問などの双方向的なコンテンツをユーザーに提供します(セクション5参照)。

"これは良い情報です、なぜなら、多くの場合、私は情報を持って医者に行き、食事の問題、避けるべきこと、薬について質問するのですから。"

行動のステップの「理由」を説明しましょう

ユーザーにお願いしていることの理由を伝えましょう。そうすることで、なぜそのステップを踏むことが重要なのかを理解してもらえます。

食事日記をつける。今、自分が何を食べているのかを知ることで、何を変えたいのかを把握することができます。


2.6.わかりやすい言葉で書きましょう

ウェブサイトのコンテンツをわかりやすい言葉で作成することは、ユーザーが最初に読んだときに、何を言いたいのかを理解することができるということです。


段落や文章は短くシンプルに

文章は20語以下(日本語に換算すると40字以下程度)にするようにしましょう。段落は3行以内にしましょう。


常にユーザーになじみのある言語を使いましょう

専門用語はできる限り避けましょう。ユーザーが親しみを持てる言葉を選んでください。


能動態を使用してください

能動態で書くことによって、文章の主語が行動を実行することを意味します。能動態の文章は、
  • よりすぐに実行しやすく直接的
  • より理解しやすい
  • 一般的により必要な言葉は少ない


受動態:どこが悪いのかを知るための検査が必要とされるかもしれません
能動態:どこが悪いのかを知るために、検査をする必要があるかもしれません

複雑な言葉は定義をしましょう

医学用語を紹介する場合は、最初に使うときにその用語を明確に定義してください。用語集などの定義を使用するのではなく、文脈の中で言葉を定義しましょう。

主治医から神経科医を紹介されることがあります。神経科医とは、脳や神経系に関連する問題を治療する医師です。

専門用語を覚えることがユーザーのためになるのか、それを回避したほうがよいか考えましょう。例えば、てんかん患者は「神経科医」という言葉を知っておく必要がありますが、別の文脈では「専門医」と言えば十分かもしれません。

最も正確な言葉が馴染みのない医学用語の場合は、最初に使うときにわかりやすい言葉での定義を文章に入れるようにしましょう。文章の一部に定義を入れるか、ダッシュ記号(エムダッシュ)の間に定義を入れることを検討してください。

薬は空腹時に服用すると嘔吐-吐く(戻す)-することがあります。

医学的または技術的な概念を説明するために、日常の例を使用しましょう

ユーザーが親しみを感じられるような言葉やイメージを選びましょう。

マンモグラフィ(乳房レントゲン写真)を受ける時、看護師は2枚のプラスチックプレートの間にあなたの乳房を置き、それぞれの胸の写真を撮ります。

親しみやすい会話調で書きましょう

フォーマルな言葉を使うと、健康コンテンツがユーザーに伝わりにくくなるので、自分が話すように書いてください。短縮形を使いましょう。できる限り二人称の代名詞を使い、読者に直接語りかけるようにしましょう。
"私は[このウェブサイトが]好きです、私のような一般人に読みやすいからです。難解な言葉や医学用語はありません。"
やってみよう
健康関連のコミュニケーションのための資料の評価には、CDC Clear Communication Indexをご利用ください。


2.7.コンテンツの正確さを確認しましょう

健康コンテンツの正確さのため、定期的に専門家や識者に確認してもらいましょう。

コンテンツが最後にレビューされた日付とレビュアーの名前と連絡先情報を示しましょう。これにより、ユーザーにとってコンテンツはより信頼できるものとなります。

(Figure 2.5は省略します)

スタイルガイドの作成

スタイルガイドを利用して、コンテンツの一貫性を保ちましょう。スタイルガイドは、健康のようなトピック特有の単語やフレーズが多いテーマについて書く場合に特に役立ちます。コンテンツのスタイルガイドは、ユーザーがコンテンツの中で認識できるように、健康関連の用語を合理的に表すのに役立ちます。

スタイルガイドは、特定のウェブサイトのコンテンツを記述するための規則をレイアウト(割り付け)する文書です。スタイルガイドでは、文法、スペル、および書き方の好みを把握するのに役立ちます<たとえば、「Web site」または「website」どちらか?など>。また、見出しとフォントサイズを維持するために、スタイルガイドが利用できます。

スタイルガイドは、進化していく文書です。筆者と編集者が少しずつそれに足していくものです。簡単にアクセスできるようにしておいてください。多くの組織では、更新や共有が容易なことから、オンラインスタイルガイドにWiKiを使用しています(Wikiとは、ウェブ文書を簡単に作成・編集できるウェブサイトのことです)。
コンテンツスタイルガイド作成のヒントは、digitalgov.govのリソースをご覧ください。


まとめ

ウェブサイト上、特にモバイル機器では、ユーザーは必要な情報をできるだけ早く見つけたいと思っています。ユーザーのリテラシーの程度に関係なく、コンテンツは短く簡潔に、わかりやすい言葉で書くようにしましょう。

しかし、わかりやすい言葉だけでは十分ではない―ユーザーに行動変容を促すには、健康に関するコンテンツを実践可能で興味をそそるように書きます。ユーザーに分かりやすく行動のステップを示すことができれば―そして、双方向型のツールやチェックリストといった、人を引き付ける内容で彼らを動機づけることができれば―、ユーザーは最後までやり通してくれるでしょう。

次のセクションでは、コンテンツを読みやすく、かつアクセスしやすくし、魅力的な見た目にするためのデザインとレイアウトの優良事例について説明します。

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