1.健康のためには情報に基づく意思決定を

よりよい意思決定とは

1.健康のためには情報に基づく意思決定を

『これからのヘルスリテラシー 健康を決める力』(講談社、2022)
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情報チェックの「かちもない」と自分らしく決める「おちたか」の動画を公開しました
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1.意思決定が必要な問題を明確にする

 よりよい意思決定とは何でしょうか。まず、問題を明確にすることから始まります。問題がなければ、それを解決すべき行動も必要ないことになりますので、その対処の必要性があるかどうかの判断が必要です。意思決定とは問題を解決するための行動です。皆さんがいま直面している問題は何でしょうか。学校や仕事のことでしょうか、あるいはパートナーのことでしょうか。何が問題なのか考えてみてください。

 例をあげてみましょう。
朝起きたら、かぜをひいて熱が出ていたとします。ただし、それだけでは問題はまだ明確ではありません。これからどうなりそうか、何もしなくても大丈夫そうか...など、これまでの経験から考えるでしょう。そして、学校や仕事を休んだ方が良いと思ったなら、休んだらどうなるかも考えなくてはなりません。もし病院に行かなくてはならないとなると、学校で試験があったり、職場で大事な会議があったらどうでしょう。

 このように、問題が明確になってきたら、それは自分だけで決めることなのか、周囲の人にも影響することなのかの確認が必要になります。

 また、仮に病院に行くとして、いつまでに決めなくてはならないのか、その決定がどのくらい大事なことなのかなども考える必要があります。早く決めないと問題がさらに悪化するのかどうか、決めた方法によっては大きな問題が生じるかどうかなどです。会社を休むとなると、早く連絡しないと、仕事を代わってくれる人の手配もできなくなり、大変なことになるかもしれません。

2.可能性のあるすべての選択肢のリストづくり

 そこでまず、可能性のある選択肢についてすべてあげてみます。意思決定とは、2つ以上の選択肢のなかから1つ以上の選択肢を選ぶことと言えます。選択肢がなくては始まりません。しかし、時間がない場合は、そんな余裕はありません。経験と勘で乗り切るか、誰かに判断をゆだねるしかありません。それでうまくいけばいいのですが、もし、うかつな判断をして問題になってしまったら大変です。

 とにかくどれを選ぶかは考えずに、すべての選択肢をあげてみます。ここで可能性がないのではと決めてしまって選択肢を落としてしまってはいけません。実際にあげてみましょう。
  • しばらく様子を見てから決める
  • ネットで調べてみる
  • 家族や友人に電話する
  • 近くの内科の医院に行く
  • 遠くの大きな総合病院に行く
  • コンビニに行って栄養ドリンクを買って飲む
  • 市販の風邪薬を飲む
  • 首にネギを巻く
  • チキンヌードルスープを食べる(アメリカの習慣)
これで、選択肢が不足していないかを確認するのにも、とにかく情報を集めるしかありません。

3.選択肢を評価するためのメリットとデメリットの決定

 できたリストにある選択肢を評価するために、それぞれの長所と欠点、あるいはメリットとデメリットをあげていきます。デメリットはリスクとも考えられます。評価基準を決めると言ってもよいでしょう。病院が嫌いなので、なるべく病院には行きたくないかもしれません。しかし、病院に行けば、インフルエンザの検査をするなど医学的に正確な診断が得られて、症状の緩和のためなどの処方箋がもらえます。その代わり、つらい状況でイスに座って長い間待たされたり、学校や仕事を休むか遅刻することになります。首にネギを巻くのは、その効果や具体的な方法がよくわからないし、においも気になります。市販の風邪薬や解熱剤を飲むことである程度症状を緩和することができれば、学校や仕事に行けるかもしれません。風邪であれば結局は症状の緩和しかできないので、休養と栄養を十分とることを優先すれば、そのまま暖かいスープなどを飲んで寝ているという方法が、結局のところ早い回復につながるかもしれません。こうして、つぎのようにいくつかの基準があげられるでしょう。
  • 病院に行きたくない
  • 医学的に正確な診断が受けられる
  • 待たされる苦痛がない
  • 症状が緩和できる
  • 学校や仕事に行ける
  • 回復が早い
そして、それぞれの選択肢がこれらの基準をどれだけ満たしているかを考えます。なにも満たしていない選択肢があれば、それはその時点で削除すべきでしょう。

 これらの基準は、就職先選びであれば、自分の興味、能力、職種、仕事内容、業績、給料、従業員数、勤務地などですし、パートナー選びなら、収入、容姿、社会的地位、優しさ、同じ価値観などにあたるでしょうか。

4.選択肢を選んだ結果を想像する

 つぎは、実際に選択肢を選んだ時の結果を想像して、それが思った通りの結果になりそうかどうかを考えます。例えば、やはり医者に診てもらおうと思って、近所の内科の医院に行ったらどうなるか考えます。普段患者さんが出入りしているのを見たこともないし、腕が確かな医者かどうか疑わしいかもしれません。...けれど、あまり待たなくてもいいかもしれません。薬ぐらいは処方してもらえるでしょうが、問題は正しい診断が受けられるかどうかです。大事な病気を見逃されても困ります。そうならないためには大きな総合病院に行けばいいのでしょうが、長く待たされるかもしれません。待つのはつらいし、その間に誰かに別の風邪をうつされてしまうかもしれません。

 こうした選択肢を選んだ時の結果に対する主観的な価値や望ましさのことを、意思決定についての研究では、「効用」と呼びます。「医学的に正確な診断が受けられる」などのメリットのことは効用と呼べるということです。そして、ここでは、実際に病院に行くとしても、どの病院にいくか、という選択肢があるわけで、どの選択肢を選ぶかで効用が実現するかどうかを考えなくてはなりません。すなわち、期待通りの結果が起こる確率です。その確率を考えたものを期待効用といいます。これは、期待価値と同じもので、価値と確率の掛け算で表わされるものです。

 近所の医院の「医学的に正確な診断が受けられる」の効用は期待ができないとすると、期待効用は低くなってしまいます。大きな総合病院の期待効用は高いでしょう。しかし、「待たされる苦痛がない」の期待効用では近所の医院に軍配が上がります。こうなると、2つの期待効用を合わせた期待効用の大きさで判断するしかありません。意思決定の研究では、人々は最も大きな期待効用のある選択肢を選ぶといわれています。これを期待効用理論といいます。

5.意思決定における心理的な影響に注意してじっくりと選ぶ

 期待効用理論からは、望ましいものが確実に起こると思われるものが選ばれやすいことがわかりますが、その時の情報提供のされ方で選ばれる結果が違うことが知られています。例えば、フレーミング効果といって、同じ情報でも数字による表し方の違いで心理的な印象が違って、別のものを選んでしまうことがあります。

 病気になって手術をするかどうかの意思決定をするときに、医師が、「手術による生存率は99%」という場合と、「死亡率は1%」という場合では、意思決定の結果が違ってくる可能性があるということです。前者の方が手術を受けようと思いやすいと感じませんか。

 前章にあげた喫煙と肺がんの関係を示した研究でも、いろいろな説明が可能で、それによって心理的な印象は違ってくるのです。10万人(55-64歳)で、非喫煙者は40人、喫煙者(10-20本)は250人が肺がんになっています。250人を100%とすると、40人はその16%に当たるので、タバコを吸わなければ肺がんになる割合を84%減らすことができるといえます。また、10万人中の250人は0.25%で、40人は0.04%ですから、タバコを吸わなければ0.21%肺がんを減らすことができるともいえます。84%減らすというほうが、明らかにインパクトがあります。同じデータでも数字の出し方で、まるで違ってきます(ちなみに前者を相対危険度、後者を絶対危険度といいます)。専門家でさえもこれに注意しないと判断を誤ることになります。

 これらは、その数字の持つ意味を理解し、じっくりと考えるための時間が必要であることを物語っています。情報を収集することはもちろん、選択肢の価値やその実際の起こりやすさなどを考えるには、情報を理解し、活用する力が求められます。これは情報リテラシー、とくに健康に関して言えばヘルスリテラシーと呼ばれます。医療者でもこれらを十分に身につけている人ばかりであるかは疑問です。なぜなら、そのような意思決定に特化した専門知識が医療者の教育プログラムには含まれていないからです。

 すでに教えられているものには、健康と病気の因果関係を明らかにする疫学や、確率や誤差を扱う統計学がありますが、これらを苦手としているという話は聞きますが、得意としているという話はなかなか聞くことはありません。そして、フレーミング効果など心理社会的な側面を含んだ意思決定の学問としては、経済学や認知心理学が中心で、そのほか幅広い領域が関わっています。しかし、保健医療ではいまだ十分な研究がなされていないまま、意思決定の支援が行われているのが現状ではないでしょうか。そのため、欧米では健康をめぐる意思決定やその支援、自分で決められるようになるヘルスリテラシーの研究が急速に増加している状況で、日本でもこれからの研究が期待されるものです。

6.意思決定の支援を得る

 よりよい意思決定のためには、どうしても専門的な知識を求められることもあります。それは一朝一夕に身に付くものではありません。そのため、意思決定の支援をする専門家がいてもおかしくありません。医療者は本来その役割を担うべきものと思いますし、意思決定の難しい遺伝に関する分野などで実際に活動している人たちもいます[4]。しかし、通常の業務ではまだその専門的な役割が十分確立しているとは言い難いのが現状です。それでも、最近では医療コーディネーター、医療決断サポーターなどといった意思決定支援をする人たちが登場してきています[5-7]。それぞれはまだ小規模で、おもに看護職を中心として養成講座を独自に立ち上げて資格認定などを行っているものです。

 欧米についてみてみると、よく知られているものに、オタワ意思決定ガイドというものがあります[4][8]。自分で選択肢のメリットデメリットを整理するための意思決定の支援ツールとして開発されたものです。これは、意思決定のプロセスを支援するだけで、選択肢の選び方までを教えてくれるものではありません。それでも、選択肢を一つひとつしっかりと確認することができます。そのプロセスこそが大切だということで、考えなければならないことがたくさんあって整理がつかない場合にはいろいろな気づきが促されます。

 それでも選べない時があります。十分に情報がそろっていたとしても、最終候補2つがトータルとしてほとんど対等な場合などがそうです。そんなときは選択肢を得点化して、最適な選択肢を選ぶためのさまざまな計算方法が考えられています。代表的なものにはAHP (analytic hierarchy process、階層化意思決定法)というものが古くから知られています[9]。各選択肢について、自分の価値基準で重み付けをして得点化していくもので、高い得点のほうの選択肢を選べば、自分が最も望んでいる結果になると考えられるものです。パソコンで計算できる無料のソフトもいくつかあって、たとえば「決めちゃおう君」というおもしろい名前のものがあります[10]。

7.意思決定における葛藤やジレンマを解決する

 葛藤やジレンマに悩む場合は意思決定が難しくなります[8]。もともと保健医療は必ずリスクを伴うので、それをなくすことはできないかもしれません。しかし、何か解決可能な原因がある場合は、それらがなぜ起こるのかについて知っておく必要があります。葛藤やジレンマが生じてしまう理由は、7つほどあると考えられます。以下、順番に見ていきましょう。

 まず、何よりも大事なことは、1)情報や知識が不足していないかを確認することです。たとえば実家の親に電話したら「首にネギを巻く」を強く勧めてきた場合は、選択肢として「首にネギを巻く」ことは本当に効果がないのかについて確認する必要があります。そして、情報や知識の不足によって、2)ある選択肢に過大または過小な期待をかけていないかを確認することも重要です。たとえば、インフルエンザは予防接種さえすればかからない...とかです。

 また、3)自分の価値観がはっきりしない場合も、メリット、デメリットがはっきりしません。これまで経験のあることならまだしも、初めての経験の場合は、いくら自問自答しても難しい場合もあります。人に相談することや、ほかの人はどうしているのかを知る必要があるでしょう。自分の家族や友人、周囲の人や同じ経験者がどのような意見を持っているかが参考になります。しかし、せっかく周囲に聞ける人いても、4)ほかの人の意見がよくわからない、あるいは、かたよった見方をしてしまっていれば、それがまた障害になります。しっかりとコミュニケーションをとることが必要です。

 さらに、5)周囲から、ある一つの選択肢を選んでほしいという期待が強く、それがプレッシャーになっている場合も問題です。そうなっていないか、そうなっている場合は、そのプレッシャーについて自分でよく確認し、周囲との相談が必要でしょう。また、自分の価値はある程度はっきりしていても、6)聞いてくれたり認めてくれる人がいないと、自分だけでは自信が持てず不安なものです。難しい意思決定ほどサポートは重要です。それが得られないと、自分では決めにくい、決めたくないということになってしまうかもしれません。

 最後に、7)自分で決めるにも、上であげた障害を乗り越えるだけのスキルがなかったり、決めることに自信が持てない場合です。過去に意思決定できた経験がないとなかなか難しいものです。したがって、そのような人のために、意思決定を支援できるような専門的な知識や技術の開発や普及が期待されます。自分自身や身の回りの人がそれらを身につけていたら、迷うことも少なくなるかもしれません。とくに健康と病気に関する意思決定には保健医療関係者の支援がほしいところです。

                    (中山和弘)公開日2010年11月11日

[1]日経ヘルスオンラインhttp://nh.nikkeibp.co.jp/article/nharchives/90142/より一部抜粋
[2]ウルリヒ ベック:危険社会―新しい近代への道.法政大学出版局、1998.
[3]橘木俊詔編:リスク社会を生きる.岩波書店、2004.
[4] 聖路加看護大学看護ネット:意思決定支援 自分で決めた生き方を実践するためにhttp://www.kango-net.jp/decisionaid/
[5] 日本医療コーディネーター協会http://www.jpmca.net/
[6]楽患ナース~医療コーディネーター紹介http://www.rnurse.jp/
[7]医療決断サポーター養成講座http://www.med.kyushu-u.ac.jp/network/
[8]O'Connor AM, Jacobsen MJ. Decisional Conflict: Supporting people experiencing uncertainty about options affection their health [PDF monograph on the Internet]. Ottawa: Ottawa Health Decision Centre; 2007.https://decisionaid.ohri.ca/ODST/pdfs/DC_Reading.pdf
[9] @IT情報マネジメント用語事典:AHP (analytic hierarchy process)階層化意思決定法 / 階層分析法http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/ahp.html
[10] 意思決定支援システム 決めちゃおう君
http://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se313470.html

コメント

日常生活においても、選択をする機会は沢山あると思います。日々の選択手段は、経験からなる勘で選択していることが殆どなのかも知れません。 しかし、重大なこと、初めて経験すること等に対しては慎重になると思います。その時にこそよりよい意思決定をしたいと思います。  一番には「そう言うこともあったのか。知らなかった。」と後悔することを避けたいものです。  まず今後よりよい意思決定をする為にしたいと思うことは、メリットとデメリットを書き出し評価することで、考え、イメージし、自らが納得できる選択に導けるようにしたいと思いました。  後悔を最小限にする為の意思決定をしたいと思います。それは、自らが悩むことが基本ではないかと思いました。意思決定するまでの過程(悩むこと)が重要であり、またその過程では、様々な情報を入れることができたり、専門的な知識を身につけることが望まれます。  今ままでのことを振り返ってみても意思決定をした後でも自信が持てず不安なことが多かったように思うのはここに問題があったのではないかと思います。  自問自答しても決定に至るには難しいことに対してはやはり的確なサポートが必要だと思うし、自らその時々に方程式のような考え方を習慣付けたいと思いました。

T.M 2011年5月23日19:06

 意思決定支援についてですが、患者としては、治療法の選択など専門的な知識が必要な時は、病院の中に専門看護師外来のようなものがあって、その病気についての専門的な知識と看護の経験を豊富に持ち、患者の精神面や生活面にも思いを寄せられる看護師に相談できると心強いです。(リウマチ性疾患では登録リウマチケア看護師制度が発足したと聞きました。手術をするかしないか、新薬を使うかなど選択に迷った時は気軽に相談できるといいなと思います。)  最終的には自分で決めるわけですが、信頼できる主治医に「あなたの決めたことを応援します。」と認めてもらいたい。そうすれば自信を持って前に進めると思います。

ぱんだ 2011年5月29日11:03

在職中は人間ドックを受ける度に、検査結果について数項目の指摘を受け、「近くの病院にかかってください」と言われることが多く、転勤族の私にとり、毎回どこの病院にしようかと迷っていた現実があった。病院選択への有力情報(病院を横並びにして客観的に評価する情報)がなかったことや自分自身でそれら入手の術を知らなかったため、結局は住まいの近くの土日開業の病院にかかることが多く、今思えば、目の前の数値改善だけの中途半端な治療に終始していたと思われる。今回、先生の授業から、日本では、まだ十分とは言えないこと、情報入手に対する注意点等を考慮しながらでも、それら情報を入手可能な手段や方法があることをお教えいただいたのは大きな収穫であった。病院選択への一助になります。

たか 2011年6月15日20:26

 意思決定、特に医療に関しては専門的なスキルがないと難しいと、身近な友人の死で実感しました。68歳のその男性は急な発病で、時間の余裕がなく、家族の判断に身をゆだねて、運ばれた病院で、治療らしきこともろくに受けず、入院して24時間たたないで、一命を落としてしまいました。病院選びのミス?医療ミス?様々な憶測があり、原因は結局わからず、結局、家族の中に医療関係者がいたのですが、残念ながら、彼女の判断ミス?という本人にはつらいジレンマが残るという結果になりました。  このことは、ふだんから情報を収集し、理解し、活用する力が必要である「ヘルスリテラシー」が大切ということなのでしょうか。  自分ではきめられない病院選びには、相談にのってくれる保健医療関係者の支援が身近に必要だと強く思いました。

りんちゃん 2011年6月16日18:30

特別養護老人ホームに勤務する看護師として意思決定を促す機会が多々ある。例えば、身体の衰弱や疾病で経口による栄養摂取が出来なくなった場合、ムンテラを行うがほとんどの家族や親族は胃ろう造設、点滴のみ、何もしないかなどの限られた選択を迫られる。選択する家族もほとんどが医学的知識がなく高齢者である。我々が持っている情報が良き判断ツールとなるよう、いかに簡潔に解りやすい言葉で説明するかと言う情報提供能力が問われる。看取り期に入ったご利用者に対しても同様である。人の生死に関わるだけに単なる情報提供ではなく判断する人の心情をも察する対応がより重要となる。今回の講義で学んだ「オタワ個人意思決定ガイド」を導入してみたいと思う。

angel of mercy 2011年6月18日21:32

オタワ個人意思決定ガイドがなぜ日本で普及していないか疑問になりました。確かに未だに日本には医師や医療者の言うことは絶対のものだ、というイメージが根付いているように感じます。意思決定を行うということがまだ浸透していないため、葛藤やジレンマもより生じやすいのでしょうね。医療者と患者の認識の違いも葛藤やジレンマに繋がるように感じます。以前医師に相談をしに行ったところ、相談した症状は病気や治療対象と認めておらず、気持ちの問題だと言われたことがあります。別の病院で相談したところ、治療対象して生活の改善や薬物療法など症状のコントロールの仕方を教えてもらうことができました。私の場合は別の病院にかかるだけの時間やセカンドオピニオンを求める気持ちがありましたが、人によっては症状があっても病気ではないと無理矢理納得させて放置してしまったと思います。別の病院にかかるということに抵抗がある人もいると思います。意思決定をするためには情報を得ることも、それを選ぶことも大切であり、そのためにどのような行動を起こすべきなのかについて、もっと知る機会があるといいと思いました。

りんご 2013年3月29日16:35

意思決定をするためには情報が必要になってきます。これはほとんどの人が正しく理解しているかもしれません。しかし、よりよい意思決定をするためには自分に有益な情報を正しく読み解かなければならない、高いヘルスリテラシーの能力が求められるということを常に意識している人は少ないと思います。私も実際に文献を読んでも、難しいデータ表や統計の数々に、自分で読み解くことは諦めてしまうことが多く、その筆者の考えを読み解くことだけで精一杯になってしまいます。医療を担う人々の意識や努力もこれから非常に重要だと考えます。そして記事にあったように、日本でもヘルスリテラシーを重要視するような研究が進められることが必要だと考えました。 また、コメント欄に多くあったように、ヘルスリテラシーを求められるのは当事者だけでなく、周りの人々も関わってきます。患者が高齢者、もしくは認知症がある、危篤状態にある、など、本人が意思決定を出来ない場面は多くあると思います。そうした際にも最善の意思決定ができるように、常日頃から当事者と周囲の人々との間で考えを固めておくことや、正しい情報収集、または情報提供がされるべきだと考えました。

ゆず 2013年4月 9日17:50

国民レベルのヘルスリテラシー向上のためには、高校の段階で(数学の授業とは別に)臨床統計学(健康のための統計学)を必修科目にすべきと考えるが、専門家のご意見をお聞きしたい。現在EBMに関する間違った理解が歯科界に存在し、(野蛮な)民間療法レベルの介入が行われています。専門家のご意見をお聞きしたい。

亀石哲男 2014年9月 2日12:16

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