2017年2月アーカイブ

健康を決める社会を知り行動するヘルスリテラシー」で、健康の社会的決定要因に関するヘルスリテラシーの教育として、若者に批判的ヘルスリテラシーを身に付ける教育を行っている「Just Health Action」の名前を紹介していましたが、その活動内容について追加しました。
以下の通りです。

健康の社会的決定要因に関するヘルスリテラシーの教育

 社会的要因が健康に大きく関わっているという教育を受けた方はどのくらいいるでしょうか。保健医療の専門家であっても少ないと思います。そのため、アメリカでは、健康の社会的決定要因と健康の関係について学習し、批判的ヘルスリテラシーを身に付けるための組織Just Health Actionがあります。大学の国際保健、公衆衛生、工学、都市計画などのコース、高校、クリニック、保健医療機関、公衆衛生部局などで教えています。健康教育の専門家からなる諮問委員会があって、コミュニティの専門家と一緒に教えることでカリキュラムの適切性を保証しています。健康の不公平に関する研究歴のあるインターンもいて、健康の不公平に関する研究も実施しています。

 教育は4つの要素からできていて、健康は人権であると理解して健康の社会的決定要因について知る(知識)、学生自身が社会変化の主体であるという方向性を見出すための活動を知る(行動指針)、健康の社会的決定要因に働きかける戦略やアドボカシーのツールを知る(ツール)、健康の公平を進める活動を開発して実施する支援を行う(活動)となっています。日本においてもこのような活動が行なわれていくことが望まれます。

インターネット上の保健医療情報の見方」の『いなかもち』に『かちもない』をプラスし、少しパワーアップしました。 『価値もない』のほうがインパクトがあるので、これからはこちらを優先にしようかなと思います。
以下のようにしました。

 

か:書いた人はだれか?→信頼できる専門家か、所属があやしいかも
ち:違う情報と比べたか?→他の多くの情報とは全く違うかも
も:元ネタ(根拠)は何か?→引用文献がなければ勝手に言っているだけかも
な:何のために書かれたか?→商業目的でしかないかも
い:いつの情報か?→古くて現在では違うかも


『かちもない』は、「情報は5つを確認しないと『価値もない』」と覚えられます。
同じ5つを入れ替えた『いなかもち』では、「飾らず素材のままで信頼できる『いなかもち』のような情報」 でしょうか。
日本人のヘルスリテラシーは低い」のコンテンツに「さらにアジアとの比較」という内容を追加しました。 以下の内容です。

  ヘルスリテラシーの測定尺度HLS-EU-Q47は、日本だけでなく他のアジアの国でも翻訳されて、同様な調査が実施されています[2]。結果をみると、平均点では台湾が34.4と最も高く、次いでマレーシア32.9、カザフスタン31.6、インドネシア31.4、ミャンマー31.3、ベトナム29.6となっていて、どの国も日本の25.3より高くなっていました。EUの8か国も含めて国別に平均点を比較したものが、次のグラフです。日本の値が低いことがよくわかります。 

国別のヘルスリテラシーの平均点


さらに、比較における注意点も追加しました。日本の調査方法が異なるからです。以下の文章を追加しました。

 「なお、この比較で注意しなければならない点があります。日本の調査では、他の国の調査と異なる点があります。対象者については、EUと台湾では、全国(台湾以外のアジアの国では主要な都市や地域が選ばれています)でサンプリングが行われていますが、日本ではウェブの調査のモニター登録者に限定されています。そのため、対象者の特徴について、国勢調査の結果(性、年齢、収入、職業、学歴、暮らし向き)と比較して大きな偏りがないことは確認しましたが、インターネットをあまり利用していない人は含まれていません。このことは全体としてヘルスリテラシーを高めている可能性がある反面、インターネットの健康情報を使いこなすことの難しさを実感している人が含まれている可能性もあります。それでも、日本の調査では同時に「伝達的・批判的ヘルスリテラシー尺度 (CCHL、5項目)」を測定しているので、同じ尺度を測定した他の2000人規模の全国サンプリングの調査での値と比較したところ大きな差は見られませんでした(いずれも未公開)。
 また、日本だけがウェブ上の自記式の質問紙を用いています。他の国は、質問紙を用いた面接(Face-to-face)による調査です。面接調査では、対象者が社会的に望ましい回答をしやすくなることが知られていますので、他の国との差はもう少し小さい可能性があります。しかし、「入手」や「理解」に関する項目では、ほとんど差がない項目がありますし、それだけですべての差を説明できることはないと考えられます。」

最後に、2番の文献も追加しました。

新しいコンテンツ「健康を決める社会を知り行動するヘルスリテラシー」を公開しました。

これは、聖路加国際大学看護情報学研究室の院生だった松本真欣さんの修士論文の成果です。
論文は、こちらです。英語なので、日本語で紹介しています。
信頼できる情報とは」のコンテンツで、「エビデンス」「価値」「資源とニーズ」の3つとしていたところで、「価値」を「価値観」に変えました。図も変えてあります。

元々、英語では、「Values」だったので、それに忠実にしました。書いてある内容は同じなのですが、価値観としたほうが、意思決定における価値観の明確化が必要だということがより明らかになるからです。そして、それに伴い、内容も少し修正して、以下のような文章に変更しました。


 「価値観」とは、人々が健康や病気に関する問題を解決するための治療方法やケアなどの選択肢の持つ特徴のどれに価値を置くかです。例えば、家族、仕事や職場、長生き、自分の外観、副作用の有無、お金などのいくつもの価値の中で、どれに重きを置くのかです。「価値観」の元の英語は「Values」で、Value(価値)の複数形です。それは1つの価値だけではなくて、いくつもの価値があるときにどれに優先順位をつけるかという意味です。ここでは、自分の価値観を確認して治療を選ぶが参考になるでしょう。 
 では、人々の持つ価値観はどうしたらわかるでしょうか。自分の持つ価値観について、それまでの人生や経験をもとに語ること、すなわちナラティブによって表現することです。価値観を確認するには、自分が大切にしたいと思っていること、なかでも何が最も大切なのかを語ることが必要だということです。

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